英語学習の中にも多い「洋楽を聴きながら楽しく英語学習をする」方法。でもフレンチポップは60~70年代ごろの曲しかない、今どきの曲も聴きたい…と思っているあなた。
そんなあなたには「Stormaé(ストロマエ)」の曲を聴いて欲しいと思います!
今回は、2013年の留学を機会にどハマりしているStormaé(ストロマエ)の魅力について紹介します。
目次
Stormaé(ストロマエ)ってどんな人?
1985年生まれ、ベルギー・ブリュッセルの出身のシンガーソングライター。
巨匠を意味する「マエストロ」の倒語である「ストロマエ」と自身を名乗り、15歳の時にラップを始めます。
2010年のデビュー・アルバム『Cheese』に収録されている「Alors on danse」が15か国の国と地域で1位を獲得し、一躍有名に。
幼少期
ルワンダ人の父とベルギー人の母との間に生まれたストロマエ(本名:ポール・ヴァン・ハバー)。
8歳の時に起きたルワンダ虐殺により、父親をなくしています。(後の彼が生み出した楽曲の一つにもこの当時の彼の気持ちを表したとされる曲があります。)
11歳から4年間、ベルギーの音楽学校l’Académie Musicale de Jetteでソルフェージュ(楽譜を読むことを中心とした基礎訓練)と打楽器を学びます。
デビューから突如、表舞台に現れなくなるまで
2009年にリリースしたシングル「Alors on danse」は、自身もファンだと公言しているカニエ・ウェストが参加したこともあって、ベルギーをはじめとしたヨーロッパの主要各国で1位を獲得。
同曲を収録したデビュー・アルバム『Cheese』もベルギーのアルバム・チャートで首位に、ドイツやフランスでもTOP10入りを果たす大ヒットとなった。
『Cheese』に続いて、2013年には「Papaoutai」と「Formidable」の2曲が、翌14年には「Tous les mêmes」がベルギーにおいて3曲連続で1位を獲得した。
最高2位を記録した「Ta fête」の4大ヒットを含む2ndアルバム『Racine carrée』を2013年に発表し、2作連続でベルギー・アルバム・チャートを制した。オランダ、フランスやオランダ、イタリアなど6か国でも1位に輝き、フランスでは200万枚以上のセールスを記録した。
自身のレーベルを立ち上げるなど精力的に活動している中、2015年ごろから表舞台から遠ざかってしまいます。
その一つの要因として、2015年のアフリカライブでマラリア予防の注射をしたところ、重篤な副作用(幻覚などの精神障害)が出てしまったことと言われており、ヒットメーカーのストロマエが罹患したと欧州では大体的に取り上げられました。
2017年にはフランスのダンスブランド「Repetto」のコラボや2018年のフランス人ラッパー「OrelSan」とのコラボなど、音楽制作を続けていたものの、表立った音楽活動は休止状態となっていました。
8年ぶり3作目のアルバムを引っ提げて復活
『Racine carrée』から約8年半を経てリリースされた3作目のアルバム『Multitude』を2022年に発表。
2018年の「Défiler」以来約3年ぶりのシングル「Santé」を発表し、フランスで3位、ベルギーでは「Tous les mêmes」以来、約7年ぶりの首位を獲得しました。
Stormaé(ストロマエ)の魅力とは?
- ストロマエしか生み出せない独特なリズム感
例えば、Formidableは、全体としては語り口調でラップのように聞こえるものの、サビはシンプルに、formidable(フォーミダブル/すばらしい)とfort minable(フォー・ミナブル/とても惨め)という音の似たふたつの単語を繰り返します。
きみはすばらしかった、ぼくはとても惨めだった、ぼくたちはすばらしかった……対照的な言葉を交互に歌います。とても耳に残るため、ストロマエにしか出せないリズムに心惹かれます。 - ミュージックビデオは一つの映像作品としてとても見応えがある
先ほど紹介したFormidableのミュージックビデオでは、ストロマエ本人が失恋した青年を装い、街中でこの歌をわめき散らす、という内容になっていて、これがまた面白い。
叫んだり座りこんだり線路に降りたり……そんなことをしているうちに、数人の警官に囲まれてしまいます。ただ、その警官たちも、「大丈夫ですか、ストロマエさん」「あなたのファンなんですよ」なんて、にこにこと声をかけるのみ。人々はその様子をスマホで撮影しつつ遠巻きに眺めています。
父親の不在を歌った「Papaoutai」、有名オベらの替え歌でSNS依存を風刺した「Carmen」など、言葉がわからなくても楽しめる映像ばかりです。
長い手足をくねくねと自由自在にダンスするストロマエをみると、一緒に踊り出したくなること間違いなし。 - 多様性の全てを糧にして豊かな世界をクリエートする歌詞
色々なトラウマを抱えたストロマエだからこそ紡ぎ出される歌詞が、多くの人たちの心を癒し、愛されている。2022年に発表した「l’enfer」の歌詞は、「『一人きりなのは自分一人ではない』ということを思い、自死を選ばなかったことが自分で誇らしい」という意味が込められていて、コロナ禍で孤立した若者の自殺が急増したフランスの若者たちに寄り添った歌となっている。
初めて聴く人に紹介したいStormaé(ストロマエ)のおすすめ曲
どの曲もストロマエらしさ全開なので、全曲聴いてほしいのですが、今回は初心者でもストロマエの魅力を感じやすい3曲をご紹介。
リズム感が最高な「Alors on danse」
ストロマエの曲はどれもとても心地よいリズムですが、リラックスしたいときに一番聞きたい曲がこちら。
ストレスのたまった社会人に疲れを癒すために、「さあ踊ろう!」と歌っている曲です。ジムでのワークアウトやお出かけの時のドライブ、気分を上げたい月曜日など、心地良いリズムのおかげで前向きになれる一曲。
男性(恋人)のダメダメっぷりを歌った「Tous les mêmes」
ストロマエとフランス語の韻の美しさに惚れ惚れする一曲になっています。(PVではストロマエが女装をしているのですが、その美しさにやられてしまいました…!)
Universal Music Japanから日本語付きのPVを見つけましたので、こちらをご紹介。
曲の後半で流れる歌詞の韻は特にこの歌の世界観にグッと引き込まれて、あなたも何度も何度もリピートしたくなるはず。
Moche ou bête (c’est jamais bon)
ブスかマヌケか(全然ダメ)
Bête ou belle (c’est jamais bon)
野獣か美女か(何も良くない)
Belle ou moi (c’est jamais bon)
美女か私か(全くもってダメ)
Moi ou elle (c’est jamais bon)
私か他の女か(本当にダメ)
サッカーワールドカップ2014のベルギー代表のオフィシャル曲「Ta fête」
ベルギー代表選手もPVに登場するこちらの曲。なんといってもかっこいい曲です。
「ta fête」は「あなたの祭り」という意味。「サッカーワールドカップ」という大きな華々しいお祭りである一方、名門ベルギー代表選手であるために背負っている当たり前の勝利への責任感と重圧を描いていて、ワールドカップで繰り広げられる幸せと悪夢は紙一重であることを感じられる一曲。
仕事や勉強でもう一踏ん張りしたい時、勇気をもらいたい時に必ず聴いて、気合いを入れ直しています。
現代の問題をストレートに訴えたハッピーとは程遠い楽曲。でも…
うつ病や現代社会に生きる苦しみ、ハッピーとは縁遠い恋愛事情や家族の問題など、強烈なメッセージによって構築されたストロマエの数々の楽曲。その悲痛さや訴えたい想いの強さは、より聴く人にとっては増したように思えるかもしれない。
ストロマエ自身が抱える問題や時代のせいもあるかもしれないが、爽快なダンス・トラックからクラシカルな雰囲気まで、多様でエキサイティングな曲を提供してくれるストロマエ。
そんな彼の歌はどんな時でも私たちの生活に寄り添ってくれる楽曲ばかり。今後もファンの一人として、これからの彼の作品に注目&楽しみにしています。
その後、活動がパッタリとなくなっていたものの、2021年に新曲と共にカミングバックしてくれた時は本当に嬉しかったです!