【結局何が違うの?】フランスの教育システム 大学とグランゼコールの違い

Carrière/キャリア

グランゼコールが母体のビジネススクールのMBAに通っているmiho(@miho24_s)です。

フランスの教育機関に在籍していると必ず耳にする「グランゼコール」。
グランゼコールと卒業していることが名誉であると誇りを持っている卒業生も多くいるため、大学とグランゼコールってそんなに変わらないっしょ!とタカを括っていると結構痛い目を見ることがあります。

そこで今回は、大学とグランゼコールの違いについて紹介したいと思います。

フランスの高等機関

フランスには、公立と私立を合わせて3,500の高等教育機関が存在しており、大学、グランゼコール、美術大学、建築大学など幅広い選択肢があります。

大学(Université

フランス語で「大学(Université)」と表す機関は、国が資金提供している公立の高等教育機関を指します(ただし、カトリック大学を除く)。大学は全国に分布しており、学士、修士、博士を交付します。どの大学で交付された学位も価値はすべて同等です。

科学、文学、言語、芸術、人文科学、医学、スポーツ等々、大学での教育はすべての学問・研究分野をカバーしています。

Miho
大学時代に留学したAix-Marseille大学は大学に属しています。
二つの大学が合併したことにより、通っていた2013-2014年当時はフランス語圏で最大の生徒数を誇る大学でした。

グランゼコール(Grandes Écoles)

フランス語で「グランゼコール(Grandes Écoles)」と表す機関は、国家によって承認された公立および私立の高等教育機関です。

高等師範学校(ENS)、政治学院(IEP)、工学系グランゼコール(écoles d’ingénieurs)、ビジネススクール、獣医大学などがグランゼコールに当たります。グランゼコールではBac+5レベルの学位を交付され、修士の学位が取得できるものもあります。英語で授業が行われている学校も多くあります。

グランゼコールへの入学は大変狭き門です。入試選抜は各校独自の方法で実施され、また、登録費や手続き料金は大学より高く、特に私立のグランゼコールでは非常に高額になります。

Miho
通っているAudenciaはビジネス系のグランゼコールの一つです。私が通っているMBAは費用が高いことで有名ですが、他のMasterでも授業料だけで250万円以上/年が必要なため、比較的裕福な学生が多い印象です。
また、難しい試験を潜り抜けてきているだけあって、意識の高い学生が多い印象です。

芸術系高等教育機関

フランスには、フランス文化省が直接管轄する公立の芸術デザイン系高等教育機関が50近くあります。3年または5年の課程で芸術、デザイン、ビジュアルコミュニケーションなどを学ぶことができ、国家学位が取得できます。5年超のさらに上位の課程がある教育機関もあります。

高等教育省が直接管轄する、Boulle、Olivier de Serres、Duperré、Estienneの4つの公立美術大学は、非常に評判が高く、これらの学校では、グラフィックデザインコンセプト、空間デザイン、ファッションや芸術系職業の分野で国家学位を取得することができます。
私立の学校や、商工会議所に附属した学校では、各校独自の学位や資格を交付しています。RNCP(全国職業資格総覧Répertoire national des certifications professionnellesに登録されている資格もあります。

これらの芸術系高等教育機関への入学は、選別が非常に厳しく、書類審査に加え入学試験や面接などを伴います。

国立建築大学(ENSA)

国立建築大学は、文化省と高等教育・研究・イノベーション省の管轄下に20の公立大学があります。
École spéciale d’architecture(パリ建築大学)、Institut national des sciences appliquées de Strasbourg(ストラスブール 応用化学研究所)の2校もこのネットワークに加わっており、国立建築大学と同等の資格を交付しています。

建築分野の教育は、学士・修士・博士の3課程があり、国家により認められた学位を交付しています。

高等教育専門学校

公立・私立を合わせて3,000近い高等教育機関が、専門分野に特化した教育を行なっています。その分野は、医療、オーディオビジュアル、コミュニケーション、ジャーナリズム、ファッションデザイン、農学、政治学など、多岐にわたります。

これらの教育機関で交付される学位や証明書は、国家により承認されている場合とされていない場合があります。(高等職業)専門学校への入学は、入試または書類選考などにより行なわれます。一般的に履修期間は2年から5年です。

大学とグランゼコールの違い

では、大学とグランゼコールの違いはどんな部分なのでしょうか?
近年は、グランゼコールも多岐に渡っていて、一概に「これだ!」とも言えなくなってはきています。

ただ、歴史的な観点からは、グランゼコールはさまざまなフランス機関の公務員を訓練することを目的として作られた学校です。
国が上に立ってガンガン進めていくのがフランス。
そのためには優秀なエンジニアの公務員を持つことは重要。なので、グランゼコールの基本は理系のエンジニア系がほとんどでした。例外として、文系では、高等教育機関の教員や研究者の養成を目標とし、高等師範学校(École normale supérieure、略称 ENS)がありますが、通常は、フランスの弁護士、医師、経済学者、研究者、教授を養成することは、主に大学の役割とされていました。
なので、現在でも基本的には、弁護士、医師、経済学者、研究者、教授職は、大学。その他はグランゼコールが優勢です。

入学方法

まず、入学方法に違いがあります。

大学の場合

  • 大学は高校の修了書、バカロレア(Baccalauréat)を取得していれば基本的に誰でも入学可能。
  • 選抜試験はなく、入学は比較的簡単。

グランゼコールの場合

  • 一般的にバカロレアで優秀な成績を納めた学生のみが、プレパ(Classes Préparatoires aux Grandes Écoles, CPGE フランス語の通称はprépas)と呼ばれる2年間の予備課程を修了し、厳しい競争試験(Concours)に合格する必要あり。
  • どのグランゼコールに進学するかはコンクール(concours)と呼ばれる入学試験の成績によって決まる。つまり、バカロレアの成績優秀者がさらに2年間猛勉強をして、トップクラスのグランゼコールを目指す。
  • 一部のグランゼコールでは、学部課程(Licence)を修了後に直接入学できるシステムや、国際学生向けの特別な入学プロセスもあり。

費用

費用にも大きな違いが現れます。

大学の場合

  • 公立大学の授業料は非常に安く、年間数百ユーロ(国籍や学位による)。
  • 留学生の場合、学費は増えることがあるが、それでもグランゼコールに比べると格安。

グランゼコールの場合

  • 公立のグランゼコールの授業料は比較的安く、数百ユーロから数千ユーロ程度。しかし、大学と比べるとそれでも高額。
  • 私立のグランゼコール(特にビジネス系)は、年間数千〜2万ユーロ程度。

学習内容

最後に学習内容についてです。

大学の場合

  • 学問的・理論的な内容が中心で、幅広い分野に対応。
  • 大規模な講義形式が多く、学生自身が自主的に学ぶスタイルが一般的。
  • 研究分野に進むための基礎を築くことを重視。

グランゼコールの場合

  • 専門性が非常に高く、実践的な教育が中心。
  • 少人数制で、ビジネス、エンジニアリング、行政、芸術などの特定分野に特化。
  • インターンシップや企業との連携プロジェクトが多く、即戦力を育てることに重点が置かれている。

大学=誰しもに開かれた教育の場、グランゼコール=高い専門性やキャリアの即戦力を磨く

どのような教育機関であっても良し悪しがあります。
自身が学びたい内容によって、教育機関を選ぶことが最善です。